アウトドアの達人 清水国明に聞く!【第1回】
【第1回】そもそも、アウトドアとは?
登山や野外フェス、サイクリングにバーベキューなど、近年活気を見せているアウトドアの世界。最近では、“アーバンキャンプ”、“都心でのバーベキュー”など、普段の生活に近い環境の中で実現する、新たなるアウトドアスタイルにも注目が集まっています。
なぜ今、「アウトドア」なのか。「アウトドア」にかかわることで、私たちの生活はどのように変わるのか。そして、今注目の「新たなるアウトドアスタイル」の本質は、どんなものなのか。
テレビ・ラジオの司会やコメンテーター、新聞・雑誌への執筆など幅広く活躍しつつ、芸能界きっての自然環境派・スローライフ実践者としても知られる、『アウトドアの達人』清水国明さんに、お話を伺いました。
「アウトドア」とは、“ドアの外の世界” を快適に作り替えていく変化を楽しむこと
「そもそもアウトドアとは、『不便を楽しむ』『工夫を楽しむ』ことだと思うのです」と語る清水さん。アウトドアという言葉は、単に「屋外で行う活動」以上の意味を持っているといいます。
「日常からドアを開けて出ていく(アウト-ドア)、その瞬間から、いつもの日常にはない、ある種の不便さが生まれます。例えば、食事だって快適には調理できないし、いつもと同じような手軽さでは提供されない。でも、その不便を楽しむ。そういった過程や考え方も含めたのが、アウトドアなんです」
たとえば、清水流のキャンプで大事になるのは、何よりも「体験」だといいます。寝る場所を用意することにしても、食事を用意することにしても、いつもの日常にはない環境の中で、どうしたら快適に過ごすことができるのか。食事の用意一つとっても、そもそも荷物が多いと持ち運びが不便になる環境の中で、限られた器具や機材をどう使うと、どれだけやりたいことが実現できるのかを考えるのです。
手順を変えるのか、何かで代用するのか、それとも、そもそも実現したい内容を少し変えるのか…。
「一つ一つ仮説を立てて、検証して実行していくという、『努力して快適に過ごす環境を作る』ことがキャンプなんです。チーム力で、“快適ではないドアの外の世界”を快適に作り替えていく。変化を楽しむことが重要なので、ある意味、快適に過ごせないことも大事なんですね」
次回は、近年変わりゆく「アウトドア」と人々の関係性についてお聞きします。
清水 国明(しみず くにあき)
タレント、NPO法人河口湖自然楽校 楽校長、山梨学院大学現代ビジネス学科客員教授、所沢市教育委員、全日本チェンソーアート協会 特別顧問、災害出動型RVパークPJプロデューサー
1950年福井生まれ。73年にフォークソングデュオ「あのねのね」でデビューし、「赤とんぼの唄」が大ヒット。以来、テレビ・ラジオの司会やコメンテータ、著作、新聞・雑誌への執筆など幅広く活躍。芸能界きってのアウトドア派としても知られ、釣り・キャンプ・ログハウス作り、ロッド・ナイフ制作等々、自然体験イベントや環境講演会などの活動も多数。95年よりアウトドアライフネットワーク「自然暮らしの会」代表。2003年に山梨県河口湖に移住、04年「NPO法人河口湖自然楽校」を設立。05年にアウトドアパーク「森と湖の楽園」(山梨県河口湖)を開園。14年に埼玉県所沢市教育委員就任。